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すい臓の病気(膵炎・膵のう胞・すい臓がんなど)

すい臓すい臓(膵臓)とは胃の裏側に存在し、大きさは長さが約15~20センチ、幅が約2-3センチ大で重さは80~120グラムと、消化器臓器の中では比較的小さな臓器です。しかしながら膵臓の機能としては重要で、消化液を分泌したり、インスリンなどのホルモンを分泌したりします。膵臓の機能が低下すると消化液の分泌不足により消化不良を起こしたり、インスリン分泌不足にて糖尿病を発症したりします。

膵炎

膵炎とは膵臓に何らかの障害が生じて膵臓の機能不全に至る病気です。主に急性膵炎と慢性膵炎に分かれます

急性膵炎

急性膵炎とは、アルコール・胆石・高脂血症等によって急激に膵臓に炎症が生じる病気です。膵臓は消化液を分泌するため、重症となった場合は自己の消化液で自分を消化してしまい、その為最悪の場合多臓器不全となり致命的になるケースもあります。アルコールが原因の場合は保存的治療・胆石症が原因の場合は主に内視鏡による胆管結石除去術が最初に行われます。重症化した場合はICUに入室となる事もあります。

アルコールを多飲したり脂っこいものを多く食べた時、高脂血症・胆石症を持っている方が急に腹痛を生じた場合急性膵炎の発症が疑われます。急性膵炎は血液検査・画像検査で診断します。

急性膵炎になると血清アミラーゼと言う酵素が上がります。当院では10分で血清アミラーゼの検査が可能です。

慢性膵炎

慢性膵炎とは主にアルコールによって膵臓が変性(線維化)を来し、膵臓の機能が低下する病気です。まれに自己免疫で慢性膵炎になる方もいらっしゃいます。症状としては腹部の痛み、背中の痛み、体重減少、下痢等が見られます。さらに病状が進行して膵臓の機能が低下すると自覚症状は少なくなりますが、膵臓の機能低下に伴う栄養の吸収不良が見られ痩せていきます。さらに痩せていくにも関わらずインスリン分泌低下による糖尿病の発症を認めます。

血液検査・画像検査でこの病気を診断します。自己免疫によるものは、女性が圧倒的に多く。血液検査では血中のIgG-4の値が高くなることが多いとされています。治療としては、アルコールによるものは根本的なものは存在しませんが主に薬物治療による対症療法が行われます。自己免疫によるものはステロイド剤による治療が行われます。症状が進むと膵石という石が発生し膵液の流れをふさいでしまうので、すい臓の管の通りを良くする内視鏡治療を行ったり、手術療法を行ったりすることがあります。またアルコール性慢性膵炎に関連する糖尿病はインスリンによる治療となることがあります。アルコール性慢性膵炎の場合アルコール依存症の方が罹患することが多く、膵臓の治療の他にアルコール依存に対するアプローチも必要です。

膵のう胞

膵のう胞とは、膵臓に出来る液体が溜まっている袋状のもの(嚢胞)の事です。膵のう胞の原因には様々な病気があり、大きく腫瘍性のものと炎症性のものに分けられます。炎症性すい嚢胞は、急性膵炎後の合併症として出現する事が多いです。腫瘍性膵のう胞の多くは症状に乏しく良性である事が多いため経過観察となる事が多い病気ですが、一部悪性の腫瘍性膵のう胞があり、また良性と診断されても時間が経過することで悪性化する膵のう胞も存在します。万一悪性が疑われる場合は手術によって切除する必要があるため、膵のう胞と診断された場合は定期的に精密検査を受ける事が重要です。

また一部の膵のう胞(膵管内乳頭腫瘍: IPMNと言います)ではそれ自体が良性であっても、経過中に悪性度の高い膵臓がんが膵臓の他の部分に発生する可能性が高い事がここ20年間の研究によって判明してきました。そういった意味からも膵のう胞が認められた場合は定期的な精密検査が必要です。

膵臓がん

疫学

悪性度の高い膵臓がん(膵管腺癌)は残念ながら現代医療においても早期発見が非常に難しく進行も早い病気です。日本では年間約3万4千人が亡くなり、がん死亡の臓器別順位では第4位です。喫煙や肥満、糖尿病、慢性膵炎、遺伝によるものなど、様々な要因で発症すると言われていますが直接の原因は不明です。近年上述したように膵管内乳頭腫瘍という膵のう胞疾患が、膵臓がんのリスクファクター(危険因子)であることがわかってきました。また親きょうだい子供のうちに3人以上すい臓がんの方がいる場合、すい臓がんの発症率は32倍になる事が報告されております。

 原因・症状

膵臓がんは血液検査や画像検査、内視鏡検査や病理検査(細胞検査)によって診断します。残念ながら症状が腹痛や腹部不快感など、ありふれたものである為早期発見が難しく、明らかな症状が出現するときは病期(ステージ)が進行している例がほとんどです。

検査

すい臓癌が疑われた場合は超音波検査、造影剤を使用したCT検査、MRI検査(MRCP)検査にて診断を進めていきます。しかしながらこの検査だけでは早期すい臓がんをしっかりと診断する事は困難です。上記の検査にてすい臓がんが強く疑われた場合は内視鏡検査による膵臓細胞採取等の検査が行われます(ほとんどは入院下で行います)。細胞検査の結果悪性と診断されるとすい臓がんの確定診断となります。

 治療・治療成績

治療法には手術療法・放射線療法・化学療法(抗がん剤)等があります。切除可能膵臓癌は全膵臓癌の1/3程度で、残りの2/3は診断時で既に手術不能です。さらに一番早期であるStage 0での手術成績(5年生存率)は 85.8%と報告されていますが、実はこのステージではほとんど発見できていません。また膵臓がんの手術は負担が大きく、特に高齢者の場合は合併症や寝たきり等全身状態により手術が出来ない状態である事が多くあります。また上述したように診断されたときはステージが進行していることが多い事もすい臓癌の特徴で、Stage IVになると平均生存期間は5ヶ月強、1年生存率は20%、3年生存率は4.4%、5年生存率は2.7%と惨憺たる結果です。言い換えるとステージIVの平均生存期間が5ヶ月程度という事は、診断後数か月で亡くなってしまうという事です。膵臓癌の多くは、残念なことに治療をしても予後が悪い(治療の効果が少なく余命が短い)がんの一つです。

以上より膵臓の病気に対しての治療の多くは、クリニックで行えることは正直少ないのが現実で、現実として特効薬の様な有益な情報を皆様に与えられないことが残念に思います。ですが治療ではなく診断や、病気に対するご説明ができる場合もあるので気になる症状がありましたらご来院の上ご相談ください。

膵臓がんについての院長ブログはこちら

https://kawabata-naika-clinic.com/?p=101285

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